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2009-04-21 [現代思想・入門]

【現象学から実存主義へ】に関する中心人物の問題意識
フッサール現象学の誕生
厳密学への夢
 『厳密な学としての哲学』 (1910)
  「学問が、真の学問が達成されているかぎり、
  人はどこでも同じ意味において教え、学ぶことができるはずである」

 近代諸科学が懐疑主義や相対主義に陥ってしまう根本の理由
  〈認識/対象〉〈思惟/存在〉という二項対立の難問が真に克服されていないため

還元と二元論の難問
 『デカルト的省察』
  「伝統的認識論にとっては、……わたしは、わたしを、世界のうちにある人間として見いだし、
  そして同時に、世界を経験し、わたしを含む世界を学問的に認識するものとして見いだす。
   いまやわたしは、自分に対して次のようにいう。 わたしに対して存在するすべてのものが、
  そのようにわたしに対して存在するのは、認識するわたしの意識によってである」

 現象学的超越論的還元
  「私は世界のなかにいて、そのなかでいろんなことを知ってゆく」という、
  ごく一般的な人びとの世界像から、〈世界はある〉という確信を差し引いてゆく(判断中止)。
  すると、認識するものとしての私の意識だけが残される(超越論的自我)が、
  この意識は世界のなかで生活する人間としての「私の意識」ではない。
  いろいろな事物の像や、諸観念が次々と現われては消えてゆくような、
  表象の場所としての「意識」(純粋意識)が残される。

 還元の作業は、精巧な機械を丁寧に分解して、部品別に整理する作業になぞらえられる。
 フッサールはここから、もう一度機械を組み立て直していく。
 像や観念がどのように組み合わされて、「世界のなかで生きるものとしての私」、という
 人間の意識を作り上げてゆくのか、を見ようとする。

 人間の意識は、自ら像や観念を選びとりながら、自分で自分を構成してゆく、
 という本質的な特徴をもつ。
  意識の選びとりの原理   「志向性」
  自己構成の原理   「経験」ということに求める

 「世界の客観的存在」の不可疑性
  人間は、「意識」に生起してゆく像や諸観念の連なりを「経験」として生き、このことが、
  自分の外側に〈世界〉が存在しているという確信を与える。
  この確信は、論理学的には信憑だが、「経験」という場面では疑いようのないものである。

 伝統的な認識論では、「客観世界という信憑」をあらかじめ前提する。
 「はじめに世界が存在する」という前提が、「伝統的認識論」が
 客観世界と「客観的認識」との一致という二元論的難問を乗り越えられない根本の原因。


 考察:人間は現象しか把握できないのだから、
     そのままでは、認識と対象の一致は、保証されない。
     これは、デカルト―カント―ヘーゲルでも、現象学でも同じである。

     人間は真理を知りえない。 ここから相対主義や懐疑主義が生じる。
     同じ対象を認識しても、人によって、真とするものが異なってしまう。
     また、異なる見解のなかで、どれが〈絶対に〉正しいのか、判断することができない。

     現象学は、現象学的還元によって、認識と対象の一致の保証を目指すのではなく、
     人間の認識の仕組みを明らかにする(意識のありのままを言いあてられるようにする)
     ことによって、たとえば、
     同じ対象を、A氏が〇と認識し、B氏が△と認識したとき、
     A氏がなぜ〇と認識したのか、その要因・プロセスを詳細に(ありのままに?)記述でき、
     B氏がなぜ△と認識したのかも、同様に記述できれば、
     お互いの認識を理解することができたり、
     B氏も、A氏と同じプロセスをたどれば、対象を〇と認識できたり、
     あるいは、
     万人が、同じプロセスで、同じ認識ができたり
      (たとえば、個人個人がもつ、認識のクセのようなものを矯正すれば)
     するようなことを目指したのではないか。
     もし、万人が同じ認識をするならば、
     それは、〈人間にとっての真理〉ともいいえるのではないか。

     このように考えると、
     2-1-1 にある、諸科学が正しい(=統一的な)現実認識へと近づいてゆくための、
     「最も厳密で客観的な」基礎づけの学としての現象学 が、
     わたしなりに、わかるような気がする。


 参考図書には小沢稔訳とあるが、下記は細谷 恒夫 (編集), 水地 宗明 (翻訳) である。
 『厳密な学としての哲学』
     
世界の名著 62 ブレンターノ・フッサール (62) (中公バックス)

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  • 作者: ブレンターノ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1980/09
  • メディア: 単行本



 参考図書にあるのと同じ、立松弘孝訳                        09-04-22 追記         

論理学研究 1 (1)

論理学研究 1 (1)

  • 作者: エドムント・フッサール
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2000
  • メディア: 単行本



内的時間意識の現象学

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  • 作者: エドムント フッサール
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 1967/04
  • メディア: 単行本





                                                09-05-03 再掲         




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